財団法人 大東会館

事務局日誌

元号を守るために③

平成31年2月28日

『道の友』で昨年12月号から3回に亘り、福永理事長が巻頭文に執筆された「元号を守るために」は、新元号が前倒し公表されることにつき、これは「天皇の元号」としての本義が失はれるものであるとして、警鐘を鳴らし、安倍内閣の姿勢を痛烈に批判するものです。緊急性に鑑み、ここにその文章を転載させていただきます。

『道の友』平成31年2月号巻頭文より

元号を守るために(三)―皇太子殿下の御聴許を—

『不二』誌巻頭言では、昨年の五月号に「新元号の公表は践祚当日とすべし」と題し、「新元号の事前公表は絶対に不可」である旨を述べ、爾来、事ある毎にその所以を示し、幾度も警鐘を鳴らし、本紙でもこの件については度々言及して来た。「新元号の事前発表が検討されてゐる」との報道がなされた当初、本件の問題の本質を理解し、危機意識を有してゐる人士は少なく、世の大勢はこれに何の疑問も持たず、むしろ当然のこととして受け入れてゐた。しかし、「新元号の事前公布公表は元号の本旨を損ひ、新帝を蔑ろにするもの」との認識が徐々に広まり、特に首相の年頭会見で政府の方針が示されてからは、安倍内閣を支持する保守団体からも続々と批難の声が上がり、また民族派有志の間では断固糾弾の声が高まりつつある。この度安倍内閣が下した判断は、新元号の事前公表のみならず、事前公布をも断行せむとする最悪の選択であり、反発は当然のことであつた。
保守支持層からの批難に危機感を抱いたのか、総理周辺からは「改元に際しては、天皇陛下と共に皇太子殿下にも事前報告がなされる」旨が報じられ、また、去る二月二十二日には、総理自らが皇太子殿下への異例の参内、面会が行はれてゐる。詳細は明らかでないが、今回の御譲位に際しての説明と共に、新元号に関する事どもの奉告もなされたのではないか。本来であれば、皇太子殿下を蔑し奉らむとする安倍内閣の一連の不敬につき、先づは深甚なるお詫びを申し上げるべきところ、果して安倍首相のこの度の参内に、そのやうな意味があつたかどうか。
嘗て竹下首相は、先帝陛下御不例のなか、東宮御所へたびたび参内してゐる。この時、皇太子殿下へ新元号の候補についての御意見を伺ふ内奏があつたのではと囁かれてゐる。政府筋はこれを否定してゐるが、若し内奏の詳細が明るみになれば、反国体勢力は必ずこれを憲法違反として騒ぎ立てるのは明らかであり、内奏の内容が秘匿された可能性も充分考へられる。
「平成」改元の際、最も懸念されたのは御聴許問題であつた。政令が正式に決定される臨時閣議の前に内奏されれば、それは「陛下の御聴許をいただいた」こととなり「天皇の元号」の本義は辛うじて守られるが、臨時閣議後であればそれは事後報告となり御聴許なき元号となる。では、平成改元で御聴許はあつたのか。これは当時の政府高官の証言により、臨時閣議の前に、宮内庁を通じ、内定の新元号が伝奏されたことがすでに明らかとなつてゐる。元号の本義は瀬戸際で守られたのだ。
政府はこの度の新元号選定は平成改元の手続きを踏襲するとしてゐる。さうであれば、臨時閣議での決定前には、必ず、天皇陛下並に次代の新帝たる皇太子殿下の御聴許を賜り、元号の本義が守られなければならない。(福永)

元号を守るために②

『道の友』平成31年1月号巻頭文より

元号を守るために(二)―首相の年頭会見におもふ—

本年一月四日、安倍首相は年頭記者会見に於て、新元号の公布・公表を四月一日に前倒しする考へを開陳した。従来我々が「新元号の事前公表は絶対不可」「努々臣道を誤ること勿れ」と首相に警告して来たことも、遂に入れられること無く、憤りと共に、自らの力不足を痛感した次第である。
昨年末、首相には官邸へ二通、私邸へ一通電報を打ち、「新元号の公布・公表は五月一日、新帝の允裁を以てなされるべき」である所以を述べ、忠告したところであつた。また、大晦日には代々木公園内・十四烈士自刃之處の清掃を終へたその足で、富ヶ谷の首相私邸に『不二』『道の友』十二月号を持参し、私邸に詰めてゐたSPに事の由を告げ、両誌を手交した次第である。また、不二歌道会の地方道友からもこの件を案ずる声が挙がり、本部と連携するかたちで支部名、個人名でも首相へ電報・書簡が数通送られてゐる。なほ、本来であれば、この新元号前倒し発表については、皇室の尊厳を奉護すべき宮内庁こそ断固反対の姿勢を示さねばならなかつたのであり、けじめとして、宮内庁長官、次長の両名宛にも比較的長文の電報を送つた。
この件で我々と共に反対の運動を展開して来た各界有志も、先般の首相会見で意気消沈し、すでに決定事項として不本意ながらもこれを受け入れる姿勢が見られる。しかし、この度の改元に纏はる政府の方針は、決して後世の範とされてはならない。その意味でも、政府に対しては飽くまでも「新元号の前倒しは不可である」と、声を挙げ続ける必要がある。
この度の改元に纏はる一連の報道で実感したのは、内閣法制局などは明らかに現元号を「内閣の元号」とのみ見てをり、「天皇の元号」としての元号の本旨や歴史を敢て無視してゐることである。確かに、血の通はぬ法匪集団の目で見れば、政令により制定される元号は「内閣の元号」以外何ものでもないのかもしれない。しかし改元は皇位継承の時に限られ、また政令は天皇の御名御璽によつて公布されることから、現憲法下に於ても、飽くまでも「天皇の元号」であると申し得るのである。この度の新元号前倒し公表の決定は、天皇と元号の関係を無視した内閣法制局の詭弁に弄されこれに盲従した処も大きかつたのではないか。
一方、元号法に依拠するしかない現在の元号のあり方が、今回の政府の暴挙を許したことも確かだ。元号法の成立直前、影山塾長も、「現憲法下に於ける元号法の限界性がある」ことを指摘され、「『元号法制化の実現』で万歳で終つてはいけない」「断じて次を期さねばならん」と喝破されてゐる。新帝によつて制定され、詔書によつて公布される元号本来の姿を取り戻すことは、維新成就へ向けた大きな課題である。先師四十年祭の年を迎へ、年頭このことをつらつら考へ、我々一統の責務の重さを今さらながら念ふ次第である。(福永)

元号を守るために①

平成30年12月号の巻頭文より

 元号を守るために—共同通信の不可解な記事—

十二月十六日の共同通信の報道によれば、政府は、五月一日の新帝御即位後に改元の政令が公布された場合、同日の施行は困難で、改元は翌二日にずれ込むとの見解をまとめたといふ。又、五月一日の御即位と同時に改元できなければ国民生活にも影響を与へるため、政府は政令の決定時期を皇位継承前とし、新元号を事前公表する方針を堅持するのだといふ。
しかしこの記事には不可解な点が多い。先づ、一日に政令を公布すると、なぜ翌二日にずれ込むのか。記事によれば、五月一日の践祚当日は多忙な日程のため、政令公布は早くとも夕刻となり、この日に施行すると、一日が旧元号と新元号に二分され、国民生活に不便をもたらすといふこと。また、厳密に何時何分に改元されたのか特定出来ないといふことのやうだが、これは全く問題にはならない。
大正、昭和への御代替りの折は、先帝崩御の日に改元する「即日改元」であつたが、改元の日が新・旧の元号に二分された訳でなく、零時まで時間を遡り、この日はすべて新元号になることが定められた。この前例を踏襲すれば、遅い時間に政令が公布施行されたとしても、暦上、何ら不都合な点は無い。また、これが国民生活に一体どれほどの影響を及ぼすといふのか。
なぜ翌日の施行ではいけないのかも疑問である。平成の改元は、一月七日に政令公布、翌八日に施行される「踰日改元」であつた。この前例に鑑みれば、仮に施行が翌日になつたとしても、事前の周知があれば、不都合は無い。
この共同の記事自体「関係者が明かした」話とのことで信憑性に乏しいものだが、仮に事実を語るものであれば、これは事前公表を何としても行ひたい政府の全くの詭弁であると言はざるを得ない。
今回の共同の記事は「内定」等による事前公表でなく、飽くまで皇位継承前に「政令を公布」するといふものだ。この場合、今上陛下が次代の御代の新元号を允裁されることとなるが、これは「天皇と一体不可分」である元号の本義に反するもので、到底容認出来るものではない。
「天皇と共にある元号」を目の敵とする反国体勢力からすれば、元号そのものを否定せずとも、天皇と元号を引き離せば事足りるのだ。今、政府がやらうとしてゐる新元号の事前公表、前倒し決定とは、彼等の奸計に沿ふものであり、後世に必ず禍根を残すこととなる。
読売の世論調査では、西暦よりも元号を使ひたいと答へたのは五〇%であつたといふが、多くの日本人が、歴史伝統に基く権威、重み、正統性、倫理性、また土着的な懐かしさや、祖先に繋がる安心感などを元号に感じてゐるのではないか。しかし、それは飽くまでも元号が「天皇と共にある」故であり、これが「内閣の元号」となれば、元号離れが進み、その要因を作つた安倍内閣は、後世、皇国の歴史に断罪されることとならう。安倍首相は努々臣道を誤つてはならない。(福永)

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