財団法人 大東会館

元号を守るために②

平成31年2月28日

『道の友』平成31年1月号巻頭文より

元号を守るために(二)―首相の年頭会見におもふ—

本年一月四日、安倍首相は年頭記者会見に於て、新元号の公布・公表を四月一日に前倒しする考へを開陳した。従来我々が「新元号の事前公表は絶対不可」「努々臣道を誤ること勿れ」と首相に警告して来たことも、遂に入れられること無く、憤りと共に、自らの力不足を痛感した次第である。
昨年末、首相には官邸へ二通、私邸へ一通電報を打ち、「新元号の公布・公表は五月一日、新帝の允裁を以てなされるべき」である所以を述べ、忠告したところであつた。また、大晦日には代々木公園内・十四烈士自刃之處の清掃を終へたその足で、富ヶ谷の首相私邸に『不二』『道の友』十二月号を持参し、私邸に詰めてゐたSPに事の由を告げ、両誌を手交した次第である。また、不二歌道会の地方道友からもこの件を案ずる声が挙がり、本部と連携するかたちで支部名、個人名でも首相へ電報・書簡が数通送られてゐる。なほ、本来であれば、この新元号前倒し発表については、皇室の尊厳を奉護すべき宮内庁こそ断固反対の姿勢を示さねばならなかつたのであり、けじめとして、宮内庁長官、次長の両名宛にも比較的長文の電報を送つた。
この件で我々と共に反対の運動を展開して来た各界有志も、先般の首相会見で意気消沈し、すでに決定事項として不本意ながらもこれを受け入れる姿勢が見られる。しかし、この度の改元に纏はる政府の方針は、決して後世の範とされてはならない。その意味でも、政府に対しては飽くまでも「新元号の前倒しは不可である」と、声を挙げ続ける必要がある。
この度の改元に纏はる一連の報道で実感したのは、内閣法制局などは明らかに現元号を「内閣の元号」とのみ見てをり、「天皇の元号」としての元号の本旨や歴史を敢て無視してゐることである。確かに、血の通はぬ法匪集団の目で見れば、政令により制定される元号は「内閣の元号」以外何ものでもないのかもしれない。しかし改元は皇位継承の時に限られ、また政令は天皇の御名御璽によつて公布されることから、現憲法下に於ても、飽くまでも「天皇の元号」であると申し得るのである。この度の新元号前倒し公表の決定は、天皇と元号の関係を無視した内閣法制局の詭弁に弄されこれに盲従した処も大きかつたのではないか。
一方、元号法に依拠するしかない現在の元号のあり方が、今回の政府の暴挙を許したことも確かだ。元号法の成立直前、影山塾長も、「現憲法下に於ける元号法の限界性がある」ことを指摘され、「『元号法制化の実現』で万歳で終つてはいけない」「断じて次を期さねばならん」と喝破されてゐる。新帝によつて制定され、詔書によつて公布される元号本来の姿を取り戻すことは、維新成就へ向けた大きな課題である。先師四十年祭の年を迎へ、年頭このことをつらつら考へ、我々一統の責務の重さを今さらながら念ふ次第である。(福永)

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